魚の氷蔵と冷凍の中間的鮮度保持を目的として, -3℃のPartial freezing(以下PF法と略記)の効果をマイワシを用いて検討した.試料を-3℃氷およびPF専用冷蔵庫 (-3±0.5℃) に保管, その効果を氷蔵法と比較した.筋肉ATP関連化合物の分解は, 氷蔵よりPF法は著しく緩慢で, 鮮度判定恒数K値は貯蔵8日目で氷蔵区は34.3%, PF法では14.9%にとどまった。すなわち, この値からみた鮮度保持効果は後者のほうがはるかに良好であった.過酸化物価(POV)等よりみた脂質の酸化は氷蔵区が著しく, PF法では顕著に抑制された.そして, 氷蔵では10日で完全に変敗してしまったが, PF法では色つやはよく, 生鮮魚として十分な品質を保ち, 15日後において食用可能であった.PF法は-3℃が保持温度であるから, 魚はコチコチに凍らず, 解凍操作の必要なくただちに利用できる.電気消費量は大幅に節減できるので, 今後, 漁業用のみでなく, 家庭用小型冷蔵庫にも設置して, その応用を進めたい.