米飯の食味評価に関係する要因を究明するため, 全国主要品種米14点について, 食味の指標ならびにその成因について検索した. 1) テクスチャー特性の硬さは炊飯嗜好特性の加熱吸水率, アミログラム特性の糊化開始温度, ブレークダウンならびに食味評価の外観, 粘り, 硬さとの間に有意な相関を示し, 食味指標の一つとして有望であると推定された. 2) 高速液体クロマトグラフィーにより米飯中の還元糖を分別定量したところ, グルコース, フラクトース, マルトース, マルトトリオースが検出され, これらの糖含量は食味と有意な相関を示した. 3) 微分干渉顕微鏡により加熱米の組織観察を行った結果, 硬い食感の米は軟らかい食感の米に比べ細胞膜が厚く, 円形の中心デンプン粒が密に存在しており, 組織の状態が炊飯嗜好特性の加熱吸水率や糊化開始温度ならびに食味と密接に関連していることが示唆された.