脱塩脱脂粉乳およびホエー粉末を小麦粉に添加した場合の生地の物理的性質を, エクステンソグラフにより測定し, 実際の調理面から麺をとりあげ, 麺の引張り強度の測定, 如で麺の官能検査により食味との結びつきを検討し, 次のことが明らかとなった. 1) エクステンソグラフの結果から i) 薄力粉に脱脂粉乳を添加すると, 添加量の増加にともない伸張抵抗, 面積, 形状係数は大となるが, 伸長度に及ぼす影響は僅少であった.とくに30%添加の生地は, こしの強い生地となり, しかも伸びやすさを失わず麺生地などに利用できると考えられた. ii) 強力粉に脱脂粉乳を添加すると, 伸張抵抗は薄力粉よりもさらに大となり, 伸長度は逆に小さくなり, こしは強くなるが伸びにくくなる傾向を示した. iii) ホエー粉末添加により伸張抵抗の増大, 伸長度の減少は最も顕著にあらわれた. iv) 脱塩率の影響は, 脱脂粉乳では差は僅少であり, ホエー粉末では強力粉に添加した場合のみ, 脱塩率の差が認められた. 2) 麺の引張り強度は, 生麺, で麺ともに薄力粉に脱脂粉乳添加麺は, 中力粉に近い伸び弾性率を示し, 強力粉に添加した麺の伸び弾性率は最も大きい値を示した. 3) 如で汁中の溶出固型物量は, 脱脂粉乳30%添加麺は無添加麺より増加の傾向を示した. 4) 官能検査の結果から麺線のみでは無添加麺が有意に好まれるが, つけ汁を添えることにより, 脱脂粉乳添加・無添加の有意差は認められず, 汁の工夫により広く利用できると考えられた.