我が国の未利用木質バイオマス発電施設は,発電効率は25%前後と低く,設備コストや燃料コストが高いため,高い経済性を確保するのは容易ではない。一方,電力だけでなく熱も利用可能な熱電併給 (CHP) は,小中規模でも経済性を高められると考えられる。これを定量的に明らかにするため,評価モデルを開発し,四つの発電規模 (1,200,1,600,1,999,5,700 kW) を対象に,1) 発電のみ,2) 蒸気利用のCHP,3) 温水利用のCHPの三つの事業について内部収益率等を推計した。売熱単価は,A重油価格を参考に7.7円/kWhと5.2円/kWhの2通りとした。推計の結果,a) 発電事業よりも,総合効率を確保してCHP事業を行う方が経済性は高くなる,b) 1,200 kWの場合,発電効率が低下するため,売熱単価が低い場合には,CHP事業を行っても採算が取れない,c) CHP事業では,発電量が大きく低下する蒸気利用よりも,発電量の低下が少ない温水利用の方が経済性が高い,d) 熱電併給事業の経済性を高めるためには,大きな熱需要の確保が必要であることが明らかとなった。