本稿では,北海道にて稼働した3基の木質バイオマス発電所へ向けた未利用材の供給ポテンシャルを針葉樹人工林の未利用材について試算した。試算にあたり北海道内での原木輸送費や林業事業体によるチップ化費,発電所が内部収益率 8% を維持できる未利用材への最大支払額等を考慮した。未利用材への支払額上限の推計には木質バイオマス発電・熱電併給事業評価シミュレーターを使用した。その結果,各発電所の未利用材への最大支払額は約 6,200~12,500 円/m3 と推定された。結論として,各発電所はおおむね 50 km を超える輸送で未利用材集荷を実施してもIRR 8% は維持できたが,未利用材供給ポテンシャルは 1.2~8.8 万m3/ 年と,各発電所の計画認可時の未利用材需要量には達しなかった。