発電用木材の安定供給の要点を明らかにするため,全国的にみてもその流通が活発な宮崎県中北部の状況について,発電事業者,集荷者,出荷者,支援者に対して聞き取り調査を実施した。発電事業者・集荷者は,安定調達に向けて,集荷網の構築・維持・強化,価格の引き上げや手数料の引き下げ等による出荷者の利益増大,山土場での引き取りやA材~発電用木材の仕分け作業の引き受け等による出荷者の利便性の向上,発電用木材の自社生産,末木・枝条等の使用部位の拡大に取り組んでいた。行政・業界団体等の支援者は,発電事業者・集荷者と出荷者との間での情報・意見交換の促進および安定供給のための協議会の設立に取り組んでいた。一方,出荷者は,生産・出荷に際して,利益,利便性,所属団体の意向,発電事業者・集荷者の熱心な営業,発電事業者・集荷者との信頼関係,事業活動の安定性,取引の自由度等を考慮していた。需要者・支援者の取り組みと出荷者が重視する項目は現時点では,概ね一致していた。今後も,現在の取り組みを継続・強化すると共に,長期的な安定性確保のために出荷者の連携が重要と考えられた。