本研究では,栃木県スギ・ヒノキ林分において,木質バイオマス発電のための未利用材供給ポテンシャルと利用可能量を推計し,既存の発電施設への長期的な燃料供給の可能性について検証するとともに,新規発電施設の適地を検討した。その結果,供給ポテンシャルは用材 1,003,745 m3/年,未利用材394,042 t/年と推計され,利用可能量は用材430,561 m3/年,未利用材169,125 t /年と推計された。森林所有者への返却金を考慮した利用可能量を試算した結果,用材102,835 m3/年,未利用材40,110 t /年と減少したが,既存の発電施設が消費する未利用材は35,000 t /年であるため,返却金を考慮した場合でも既存の発電施設における長期的な燃料材需要は賄えることが示唆された。さらに,返却金を考慮した余剰の未利用材利用可能量から,栃木県内の2市で小規模ガス化発電施設の導入可能性が示唆された。