高知県の木質バイオマス発電施設は,県中部 (T) と県西部 (G) の2カ所で2015年から稼働している。いずれも6 MW級で年間7~9万 m3 程度の木質燃料を必要とする。関連資料と関係団体への聞き取り等により,これら発電施設への燃料材供給と稼働の安定を主な問題意識として,現状と課題の整理を行った。燃料の供給状況は,大手素材生産業者も多い県中部に立地し県森連が主要株主であるTでは,県の素材増産施策に伴うC,D材の生産増加もあり,森林施業に伴い発生した未利用材のみで一定量の確保が可能となっている。一方,拡大造林期が県中部より10年ほど遅れヒノキが主体の県西部に位置するGでは,人工林からの燃料材供給は多くはなく,現状では製材端材などの一般材が主な供給源である。ただし地域には放置薪炭林など広葉樹林が多く存在するため,輪伐期を設定した森林経営計画下での皆伐による広葉樹材供給など新しい試みが行われている。