日本人の死因の1位はがんであり, がんによる死亡者数は年々増加している。著者らは脂溶性の食品機能成分による抗がん作用を検証し, その作用メカニズムを究明してきた。無限の細胞分裂能を付与する酵素テロメラーゼががん組織に高頻度に検出され, その活性阻害によるがん抑制が期待されている。テロメラーゼの活性を制御する食品脂質を探索した結果, 含硫糖脂質, 長鎖不飽和脂肪酸, トコトリエノール, 糖化脂質を発見した。また, こめ油成分であるトコトリエノールとフェルラ酸が相乗的にがんを抑制する (G1期停止を介したがん細胞増殖阻害とテロメラーゼ阻害) ことを明らかにした。本稿では, 長鎖不飽和脂肪酸と糖化脂質によるテロメラーゼ制御, こめ油成分による相乗的ながん細胞増殖抑制について概説する。