米は日本において主食であり, エネルギー供給源としてだけでなくタンパク質の供給源としても重要な食品である。それにもかかわらず, 米タンパク質の生理学的機能性に関する研究は非常に限られている。著者らはこの米タンパク質に着目し, 栄養生理学的に基礎となる消化性ならびに機能性に関する研究を行った。その結果, 我々が摂取している精白米のタンパク質の1つであるプロラミンの消化性は炊飯処理で低下することを明らかにし, 逆にアルカリ抽出により精製した米胚乳タンパク質 (AE-REP) 中のプロラミンの消化性が高いことを in vivo レベルで証明した。さらに AE-REP を用いて機能性に関する検討を行ったところ, AE-REP は血漿総コレステロール, 肝臓中総コレステロールおよび中性脂肪の低下作用を有し, 糖尿病モデルラットでは AE-REP の摂取が糖尿病性腎症の進行を遅延させることを明らかにした。