(1)キクイモを焙煎することにより,総ポリフェノール含量が増加し,190℃,30分間で最大となった.総ポリフェノール含量の増加と共にDPPHラジカル消去能と α -グルコシダーゼ阻害活性が増加した.
(2)総ポリフェノール含量が有意に増加する170℃,30分からカフェ酸誘導体類は減少し,新たな成分が増加した.生成した成分がDPPHラジカル消去能や α -グルコシダーゼ阻害活性に寄与したことが示唆された.
(3)イヌリンの含量は,170℃,30分間の焙煎までは有意な変化は認められず,190℃以降は温度が高く,時間が長くなるにつれ減少した.
(4)茶様飲料を想定した抽出液にもイヌリンやポリフェノールが焙煎処理に応じて抽出されることが確認された.
以上のことより,焙煎キクイモは茶様飲料等様々な飲食品に利用でき,イヌリンと増加したポリフェノールにより機能性作用も期待される結果が得られた.