米粉パンに利活用される微細米粉製造の研究において,製粉後の粒子径や澱粉損傷度の重要性が認知されつつあるが不明瞭な部分も多い.そこで,各種精白米の製粉性や篩い分けた米粉の特徴および米粉パン性状との関係について検討した.
24品種42点の精白米を60%が200メッシュ通過するまでラボミル粉砕した結果,精白米のアミロース含量が高い程,粉砕に要する時間は少なかった.胚乳粉質系統はアミロース含量の傾向とは関係なく,短時間で粉砕された.また,粉砕に要した時間と澱粉損傷度の関係を検討した結果,決定係数0.81**と高い相関が確認できた.品質判定機により分別した精白米を粉砕した場合,未熟粒率が高い程,製粉に要する時間が短い事が確認できた.
浸漬時間の異なる精白米を湿式でピンミル製粉した場合について,浸漬時間が長くなるほど,作成した米粉の平均粒径,澱粉損傷度の低下が起こり製パン性が向上した.それぞれの米粉を更に篩い分けした場合,細かい粒径区分ほどパン比容積は増加する一方,同程度の粒径区分の米粉の比較では澱粉損傷度が低い方がパンの比容積は増加した.
以上の結果から,原料米の性状と製粉性の関係および米粉パン製造における細かい粒径と低い澱粉損傷度の有効性を定量的に示すことが出来た.今後は米粉から作られる様々な加工品に対して粒径と澱粉損傷度の最適な構成を検討することが必要と考えられた.