微生物を取り巻く環境を検討しようとすると,物理的な条件としては温度,圧力あるいは撹拌混合などの限られたものになる。食品加工分野では,ジュール熱などの材料自体の発熱を利用する通電加熱の技術に関心が集まっており,その際の条件(直流,交流・周波数,電圧,連続またはパルスなど)によって、発熱に限らず,電気穿孔,電気浸透などの現象の組合せ応用が始まっている。通電加熱ではその原理と温度制御が容易であり,容器等への放熱を低下させれば省エネ的でもある。精密な温度管理が求められる培養に適しているように思えるが,実際にどのような効果が期待できるのであろうか。また,食品の分野では抽出・分散の効果を利用される超音波は,見かけ上は常温・常圧でありながら,局所的には高温・高圧の環境を生み出すことも知られている。では,微弱なエネルギーレベルの超音波は微生物の培養時にどのような効果を示すのだろうか。こうした物理的条件での効果をいくつか紹介いただいた。