食品に含まれるポリフェノール類は強い抗酸化性を有することから,広範な生理機能を示すことが知られており,健康機能をもつ食品成分として注目されている。近年,地域特産品として黒大豆の品種開発や加工技術の開発が進みつつあり,黒大豆は発酵原料としての利用が期待されている。本解説の著者らは黒大豆と焼酎麹を原料としてクエン酸の爽やかな酸味をもつ新規のクエン酸健康飲料を開発した。本解説ではこのクエン酸健康飲料の開発における研究の経過と本飲料の生理機能についてラットを用いた動物実験での結果をまとめて簡潔かつ詳細に示していただいた。醸造の技術を活用した製品開発例として,新規製品の開発に向けて大変に参考となる事例である。