乳酸発酵によりオカラの腐敗を抑制しながら,生体調節機能を有するGABAとOrnを生産することを目的とした.GABA·Orn生産株である Lb. brevis NBRC 12005株(12005株)単独培養では,オカラでのGABAとOrnの生産量はわずかだった.タンパク質分解活性を有する乳酸菌として Lactobacillus casei L-14 (L-14株)および Lactobacillus casei L-12 (L-12株)を選抜した.L-14株/12005株の混合培養により,GABA量は89mg/100g,Orn量は34mg/100gに増加した.前駆アミノ酸であるGluまたはArgを添加して混合培養することにより,GABAとOrn量はさらに増加した.オカラにGluを4mmol/100g (588mg/100g),またはArgを6mmol/100g (1045mg/100g)を添加して,L-14株/12005株で混合培養することにより,GABA量は目標値の10倍となる403mg/100g,Orn量は目標値の5倍となる216mg/100gとなった.また,オカラのpHは5以下であり,腐敗原因菌である耐熱性芽胞菌は検出されなかった.本研究によるGABAとOrnを増加させた乳酸発酵オカラは,様々な加工食品の素材として利用できると期待された.