目的
在日外国人の介護保険における居宅サービスの利用状況について明らかにすることを目的とした。
方法
福祉・保健・医療の総合情報サイトWAMNETのデータベースを用いて、大阪市に所在する全ての居宅介護支援事業所および地域包括支援センター1,106か所に所属する介護支援専門員1,800名(1事業所につき1~4名所属)を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施した。回答結果は数値化し、記述統計を主体とした量的データ分析を行った。また、日本語によるコミュニケーション能力と性・年齢・家族構成との関連性について、Fisherの直接確率検定により検証した。
結果
460名の介護支援専門員より回答が得られ(回収率25.6%)、590件の在日外国人利用者情報を得た。その内、有効回答の312件を分析対象とした。利用が多いサービスは、訪問介護および通所介護であった。介護支援専門員の34.3%が、在日外国人利用者に対し、日本語によるコミュニケーションが困難ととらえており、コミュニケーションが難しいグループの高齢者の年齢層が高かった(p<0.05)。また、経済状態について困難と判断された利用者は約60%におよんだ。
結論
年齢層が高い外国人利用者ほど日本語によるコミュニケーションが困難な現状があり、ケアプラン作成やサービス利用に伴う意思疎通やニーズの把握において、支障をきたす可能性がある。また、経済状況の厳しい外国人利用者が多く、一割の利用者負担のために、必要なサービスの制限する可能性もある。サービス提供における公平性の確保の観点からも、在日外国人の居宅サービス利用における、コミュニケーションおよび経済面への支援体制の充実が課題として示された。