目的
今日の開発途上国における民間セクターの著しい成長と援助国と被援助国における公的財政の制約という中で、途上国の多様化する保健医療ニーズに如何に応えるかという問いに対する戦略として、近年、官民連携は注目を集めている。その反面、国際保健医療や開発援助の領域において官民連携に関する定まった定義は存在しない。しかし、その評価や実践方法を研究する上で概念整理は必要である。そこで本稿では、官民連携と同じく社会的課題解決に取り組む議論で使われ始めた他4つの概念、すなわちBOPビジネス、ソーシャルビジネス、CSR(社会的責任)、CSV(共有価値の創造)と共に5つの概念の関係性を整理しつつ、官民連携の定義付けを試みた。
方法
文献検索により過去にどのような定義付けがなされてきたか調べ、官民連携と他4つの概念の関係性を整理した。
結果と結論
5つの概念の関連性を図示化し、その上で本稿では「官民連携とは、企業の成長を担保しつつ、公共が求める社会課題解決のために公的機関と民間企業が協働するプロセス」と定義した。