天文学研究資料は機器や乾板,設計図等多岐にわたっており,我が国の天文学や自然科学の発展を記録した重要な資料である.また,これら資料群は国内の大学や研究機関に広く保管・収蔵されている.資料の種類や機関を横断した資料情報の整理の手法として,我々はデジタルオブジェクト識別子(DOI)を用いた「サブジェクトリポジトリ」の構築を目指している.その嚆矢として,国立天文台岡山天体物理観測所の資料群を対象にサブジェクトリポジトリの構築を試みた.天文学分野では,常に最新の科学技術が研究・観測に適用され,かつ観測プロジェクト単位で観測機器を独自に製作・運用する,いわゆる一品物の観測機器等が多いことから,観測データを再利用するには併せて観測機器やその図面,マニュアル等の関連資料についてもリポジトリ化・オープン化することが求められる.本稿では天文学研究資料の分類,サブジェクトリポジトリの構築,および,DOI による観測機器を中心とした資料間の関連付けの検討について報告する.