酒類にはカルバミン酸エチルという発がん性が疑われている物質が含まれることが知られており,一部の国においては基準値が設定されている。本格焼酎中のカルバミン酸エチル濃度の実態把握のため,市販品110点の分析を行った。カルバミン酸エチル濃度の平均値は14 μg/L,最大値は66 μg/Lで,一部の国において設定されている基準値(150 μg/L)を超えるものはなかった。本格焼酎中のカルバミン酸エチル濃度は他の蒸留酒と比較しても低濃度で,これはカルバミン酸エチルの前駆体であるシアン化物の濃度が他の蒸留酒と比較して低かったためと考えられる。