プリントシール機の肌色再現は,リアルな再現を基本とする一般的な好ましい色再現とは異なり,さまざまないわゆる感性語による言わばヴァーチャルな再現が求められる.本研究では,プリントシール機によるポートレート画像の肌色再現を組織的に変えた6種類のサンプルに対して,好ましさだけでなく,さらっと感,透明感といった感性語を主とする22の評価語を用いて,27名の女子学生によるシェッフェの一対比較実験を行った.一対比較の結果に多次元尺度構成法を適用して,6種類のサンプルを心理空間上に布置した.そしてサンプルの心理空間上の布置と L*a*b* 色度図上の布置とを対応づけた.その結果,単に好ましい肌色再現を行うことを目的とした評価とは異なり,特定の感性語によるユーザ要求に対応した肌色再現の可能性が示された.本研究で採用した評価方法は,色再現の評価だけでなくさまざまな製品の質感評価,感性評価に有効であると考えられる.