ニンジン・タマネギ組織に対する浸透圧脱水凍結法の効果を, NMRを用いた細胞膜の水透過性測定とレオメータを用いたテクスチャーの測定より検討した。 その結果, 破断強度, すなわち, 細胞壁に関するテクスチャーの変化が抑制されることが示された。しかし, 細胞膜に関係する初期弾性値や水透過性の変化は著しく, 浸透圧脱水凍結法に細胞膜の変化を防ぐ効果はほとんどないと考えられた。さらに, 従来行われている浸透圧脱水凍結条件では, 浸透圧脱水のみによって, 細胞膜の水透過性が増大してしまうことが観測された。これらの結果より, 浸透圧脱水凍結法は, 凍結・解凍後の軟化を完全に防ぐ方法ではないと考えられた。しかし, 浸透圧脱水凍結法において, 解凍後のテクスチャーの変化をある程度防止することは可能であるため, 今後, さらに詳細な脱水条件を検討することで, 凍結・解凍後の軟化を防ぐ凍結法が見いだされると考えられた。