現在では利用されなくなった株も含め様々な清酒酵母及び焼酎酵母のフェルラ酸脱炭酸能と脱炭酸反応に必要な PAD1 , FDC1 両遺伝子の一塩基多型を調べた。その結果,以前明らかにした株も含め清酒酵母15株及び焼酎酵母14株は,初期に選抜された酵母から最近選抜されたものまですべてフェルラ酸脱炭酸能がみられなかった。清酒酵母及び焼酎酵母の PAD1 , FDC1 配列は非常に類似していた。 PAD1 , FDC1 の一塩基多型を基にすると清酒酵母はK-1型(K-1,K-3,K-4,K-5,K-8,RIB0001,RIB0006,RIB0007)及びK-6型(K-6,K-7,K-9,K-10,K-12,K-13)の2種類に分かれた。K-2については複数配列が混合しており,遺伝子型を決定できなかった。焼酎酵母はK-1型(KS-3,MK021,Heisei Miyazaki,K2),K-6型(KS-4),KS-2型(KS-2,S-2,SH-4,C4),BY19901型(BY19901,BY19902,BY19903,H5)及びAwamori-101型(Awamori-101)の5種類に分かれた。 PAD1 , FDC1 配列の一塩基多型は清酒酵母及び焼酎酵母を識別するためのマーカーとして非常に重要である。