醤油は,味噌やみりんと並んで,和食において欠かすことのできない調味料である。醤油自身の香気成分に関しては古くより多くの研究報告がなされているが,醤油を含んだ調味液の加熱における香気成分の変化に関しての報告はあまりない。今回は,醤油の主要香気成分であるHEMFの大まかな生成機構を明らかにされた研究グループより,醤油にみりんと砂糖を混合した調味液の調理加熱による香気の質的変化とみりんの役割に関して,やさしく解説していただいた。和食においては当たり前に使われている調味料の組み合わせに関して,その理由がこれまで科学的に明らかにされて来なかったが,今回の報告はその解明への一端となると思われる。和食の開発に関わっている読者の皆様には是非とも一読いただきたい。