芋焼酎醪中の乳酸菌の分布を確認し,単離株の生理学的性質を調査した。また,特徴ある乳酸菌を利用して実際に芋焼酎の小仕込み試験を行なった。得られた結果を以下に要約する。 (1)通常の芋焼酎醪中にも乳酸菌が生息しており,二次2日目に103~105 CFU/mlと最も多く,エタノール発酵が進むに従い菌数も減少していくことが分かった。 (2)72株の乳酸菌を単離した。そのうち24株が L. plantarum ,23株が L. fermentum ,21株が L. casei グループと相同性が高かった。 (3)通常発酵醪中にはクエン酸資化能の高い L. fermentum はほとんど生息していないことが分かった。 (4)クエン酸資化能の高い乳酸菌を利用した芋焼酎の小仕込み試験を行なったところ, L. fermentum では揮発酸度が大きく上昇し,腐造が確認された。 L. casei グループにおいては乳酸菌由来成分を含む芋焼酎を製造することが可能ということが分かった。