共存農薬による測定対象農薬へのピーク増強効果の普遍性を確認するため,我々は共同研究を実施した.まず,溶媒中で共存農薬数によるピーク増強の確認を行った.次に,希釈枝豆マトリックス存在下で,測定対象農薬3種類のみ,および共存農薬166種類を含む,2種類の検量線を用いて測定対象農薬を定量した.どちらにおいても,すべての機関で共存農薬によるピーク増強効果を確認した.それらは,枝豆マトリックスの添加により軽減された.以上から,GC-MSを用いて食品中の残留農薬を正確に定量するには,試験液や検量線に含まれる,測定対象農薬以外の共存農薬からの影響に注意する必要があり,またその影響は,食品マトリックス添加により軽減される可能性があると考えられた.