大学の演習講義の場として,リゾート地域にある大学演習林に中期滞在をした場合に,都市部で暮らす滞在者の “QOL(Quality of Life:生活の質)” と “気分状態” に生じる変化の有無とその特徴,要因について調べることを目的とした。調査地は東京大学富士癒しの森研究所内の演習林および宿泊施設である。調査対象者は宿泊型(4泊5日)の演習を行う19名の学生である。QOLについてはWHOQOL26を,気分状態についてはPOMSを用いて回答を求めた。WHOQOL26は初日の集合時および最終日の解散時に計2回測定し,POMSは初日の集合時および毎朝の朝食後に計5回を測定した。その結果,QOLは全ての指標において有意差が確認できなかった。気分状態は,緊張-不安,抑うつ-落ち込み,怒り-敵意,混乱の4指標において有意差が確認された。有意差のあった緊張-不安や抑うつ-落ち込み等については,日々の天候やスケジュール内容によって変化していた。