黄色ブドウ球菌は, 健常者における常在菌である。しかしながら, 黄色ブドウ球菌の産生するエンテロトキシンによる食中毒や院内感染症の主要な起因菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) が問題となっている。本研究ではアロニア ( Aronia melanocarpa ) が有する機能性に注目し, これらの問題点を打開するため抗黄色ブドウ球菌効果を示す有効成分の検索を行った。有効成分の大まかな見当をつけるため, 異なる抽出方法でアロニア試料の抗菌活性を測定した。その結果, アロニアジュース凍結乾燥後の水溶性成分において試験菌株すべてに強い抗菌効果が確認された。抗菌成分の検索のために行った分画・細分取では逆相クロマトグラフィー非吸着・アセトニトリル20-30%溶出画分に強い抗菌効果を確認した。質量分析の結果, アロニア中の抗黄色ブドウ球菌効果を示す成分として, クロロゲン酸, プロトカテク酸やゲンチシン酸のような, 数種の低分子化合物を同定した。