放置竹林の循環利用または駆除を進めるため,落葉量の長期的な変動や伐採に対する応答など基礎的な生態を明らかにした。竹林に6m幅の帯状皆伐区と対照区を設け,その後10年間における竹稈の本数と落葉量の変化を調査した。あわせて,伐採後の経過年数別に葉面積指数(LAI)を測定した。長期観測によって,落葉量は5~6月をピークとする季節変動を示し,落葉量の年変動および季節変動は隔年周期のパターンを示すことが明らかになった。落葉量とLAIの測定から,葉量は伐採後4年で対照区と同程度に回復すると推定された。一方,竹稈の本数密度は伐採後10年経過しても対照区の47.4%までしか達していなかった。竹林の帯状皆伐においては,循環利用を考えた場合,10年程度では竹稈の本数密度が回復しない可能性がある。一方,駆除を考えた場合は,葉量が回復する4年より短い周期で伐採するなど徹底した防除が必要であると考えられた。