バンペイユにはいくつかの機能性成分が含まれ,それらの成分が果肉よりも果皮に多いことから,果皮を摂取することは生活習慣病の予防をはじめ,健康維持に役立つと考えられる.しかし,現在果皮の大半が廃棄されている.そこで本研究では,果皮の活用促進のため,果皮に含まれる機能性成分のさらなる探索を目的とした.一般成分および食物繊維の分析を行った結果,加熱乾燥果皮にSDFおよびIDFがそれぞれ15.0±0.4,18.8±0.5g/100g含まれることが明らかとなり,加熱乾燥果皮が食物繊維不足を補う食品素材として有用であると考えられた.一方,食物繊維には糖質吸収を調節する機能があることが広く知られており,さらに, in vitro 試験において,加熱もしくは天日乾燥させたバンペイユ果皮が血糖上昇抑制効果を示す可能性が報告されている.そこで,ラットに加熱乾燥果皮粉末を用いた糖質負荷試験を行い,加熱乾燥果皮の血中グルコース濃度に与える影響について検討した.その結果,加熱乾燥果皮に血中グルコース濃度を上昇させる成分と低下させる成分の両者が含まれることが示唆された.今後,加熱乾燥果皮の血中グルコース濃度に与える作用機序を明らかにすることで,加熱乾燥果皮の抗糖尿病素材としての活用が可能になると考える.