高次脳機能障害者に向けての支援は順調に進捗を見せている一方で, 社会的行動障害の強い症例への対応は困難を極めており, 支援拠点機関でも取り組むべき大きな課題となっている。厚生労働省事業である「高次脳機能障害とその関連する障害に対する支援事業」では, 社会的行動障害が強く対応困難であるばかりでなく, 当事者が居場所を失ってしまったり, 触法行為をするに至ったりするような処遇困難事例に対して, 研究班を組み, 社会的行動障害の強い症例の定義を明確にした上で, 実数・実態調査から対応方法の構築まで取り組んでいる過程にある。目指すところは地域において精神科医療を組み込んだ地域支援体制の構築により, 疲弊した当事者及び家族の生活上の安寧を回復することにある。