全天球や半天球映像のインタラクティブ視聴に合致した音場の選択的合成手法として,音場のズーム合成技術を提案し,スマートフォン上で単体動作するアプリケーションソフトウェアを開発した.提案手法は,複数チャネル間のスペクトル変形に基づき,円状マイクロホンアレイのマルチチャネル信号から,任意の方向を中心に,任意の範囲のステレオ信号を合成しており,音場の空間情報が保たれるという特徴を持つ.開発したアプリケーションソフトウェアにより,収録した音場の再生範囲を視聴する映像の表示範囲に合致させる,すなわち音にも映像にも視聴者が自由自在にズームできるインタラクティブ視聴を実現した.評価実験では,到来時間差推定に基づく客観評価により,6本の指向性マイクロホンから構成される6チャネルの円状マイクロホンアレイを用いて,任意の範囲のステレオ信号が選択的に合成できることを確認した.