カンピロバクターを対象とした「疫学情報を用いた遺伝子スクリーニング手法」について検討した.初動調査で得られる疫学調査情報のうち①飲食店で生食もしくは加熱不足の疑いがある食肉の提供がある,または飲食店以外では生肉の取扱いを高校生または大学生等が自ら行っている,②24時間以上の潜伏期間,さらに③下痢の有症率は50%以上であり,嘔吐の有症率は33%以下,といった三つの情報があればカンピロバクター食中毒を疑う必要がある.遺伝子スクリーニングは,培養と比較した結果, C. jejuni は,感度88%,特異度90%, C. coli は,感度100%,特異度98%であり,良好な結果が得られた.早期に客観的な結果を得ることができる「疫学情報を用いた遺伝子スクリーニング手法」は,食中毒発生時に迅速な行政指導や検査方針の決定に役立てることが期待される.