製糖時期の遅れが黒糖の品質に及ぼす影響を明らかにするため,2015年3月~6月に製糖された沖縄県産黒糖79試料の品質変化を測定した.色,pH,導電率,透過率を用いたクラスター分析により,製糖時期により3つのクラスターに分類された.各クラスターより選抜した13試料の成分分析の結果,還元糖,ミネラル(Ca,Fe),有機酸(乳酸,酢酸,コハク酸),香気成分(ケトン類,アルコール類)は製糖後期になるほど多く,官能評価の苦味や味覚センサーによる「苦味雑味」も強くなった.以上のことから,3月~6月にかけては,サトウキビ中の還元糖やFe,Mgが増加し,黒糖製造中に生じるカラメル化やメイラード反応を促進することで,黒糖の苦味が強くなると考えられた.