原料の異なる市販の米菓を用いて,食塊の物性,微細構造が口どけ感に及ぼす影響を検討した.
米菓の口どけ感の評価用語を「唾液の吸収速度」と「食塊の残りやすさ」に選定した.唾液吸収速度と53µm以下の食塊粒子の質量分率が,口どけスコアと正の相関があった.米菓に α-アミラーゼ溶液を添加すると粘度は急減し,その半減期は口どけスコアと負の相関があった.気泡の膜厚と口どけスコアは負の相関が,気泡の平均サイズと口どけスコアは正の相関があった.
以上の結果から口どけ感の良い米菓ほど,気泡膜が薄く,気泡が大きい傾向にあり,またその咀嚼過程では,唾液吸収速度が大きく,食塊が細かく破砕され,酵素による消化が進行しやすいことが明らかとなった.