我々は,システムとユーザがインタラクティブに議論の構造化と要約生成を繰り返しながら議事録を生成するシステムを設計した.本システムでは,議事録に対して問い合わせを行い,その結果を受け,さらに新たな操作を繰り返すことで,その会議を個人的な観点から振り返ることができる.我々の問題意識は,従来の議事録では会議の表面的な事実を纏めることが多いため,明示的に示されていない情報を把握することが難しい点にある.会議録の再利用性を高めるためには,議論の構造的な情報やそこに含まれる意図を理解する必要がある.我々は,議論に含まれる意図を明示的に表現するため,言語・非言語情報に基づいて,発言間の関係や階層的な重要度を表す木構造とその抽出方式を提案した.提案システムでは,この木構造をインタラクティブに操作しユーザごとに異なる観点を与えることで,会議の流れや決定事項などの要旨を効率良く把握することを目的としている.提案システムを用いた重要発言抽出に関する評価では,既存の文書要約技術と比べROUGE-2のスコアが高いことが示された.また,10名を対象に実施した被験者実験による評価では,効率的に会議内容を把握できることが実証された.さらに,被験者の利用傾向に関する分析から,議事録生成のための観点をどのように与えていくのかを明らかにし,提案システムの有用性を示した.