ソフトウェア開発において,リスクを管理することは非常に重要である.リスク管理では,ブレーンストーミングなどによりプロジェクトで発生するリスクを特定し,対応方法を計画する.ただし,リスク認識にはバイアスが存在することが指摘されており,その影響によりリスクを正しく特定できない可能性がある.そこで本研究では,リスクをより正確に認識することを目的とし,開発者のリスク認識を明らかにする.本研究ではスロビックの研究に基づいたアンケートによりリスク認識を定量化し,それを「恐ろしさ」と「未知性」の2要因に縮約する.分析では69人のソフトウェア開発者・研究者に対するアンケート結果を用いた.その結果,リスクの経験頻度により,そのリスクに対する「恐ろしさ」と「未知性」の認識が異なり,それが危険度の認識の差につながっていることが明らかとなった.