従来の原子核乳剤を含む高感度写真フィルムの設計の主たる目標は潜像形成効率の向上である.一方,1粒子に〜1000個もの電子正孔対の生成をもたらす暗黒物質(DM)を検出するための乳剤では潜像形成効率を抑える必要がある.潜像形成効率の抑制によりDM検出の向上をもたらすために,全ての画像検出器に対して普遍的で総合的な評価基準である検出量子効率の考え方を初めてDM検出用乳剤に適用し,その三つの要素である潜像形成効率,階調およびノイズを総合して評価し,乳剤の設計指針を提案した.指針は〜40 nmのハロゲン化銀粒子からなるDM検出用原子核乳剤を用いて実験的に検証中であり,ここにこれまでの結果を紹介して提案の妥当性を考察する.