アルツハイマー病 (AD) やレビー小体病 (DLB) の特徴のひとつである視覚構成障害の評価には立方体模写課題 (CCT) と重なった五角形模写課題 (PCT) が多用されるが, これらの成否は時に二重に乖離し, 構成能力の他に異なる要因の影響を受けていることが考えられる。2 課題に影響を与える要因を探索的に検討した。対象は 264 例の認知症および疑い患者である。結果, CCT と PCT は互いに関連するものの, CCT は TMT, 教育年数, 時計描画 (CDT) の誤りにおける遂行機能障害要因 (CDT-ex) との間で, PCT は MMSE 総得点と CDT の誤りにおける構成障害要因 (CDT-con) との間で有意な関連がみられた。PCT は教育年数や注意障害, 遂行機能障害の影響をあまり受けずに構成障害を描出できると考えられたが, 強い天井効果が認められた。