絵の呼称時に名詞や動詞などの干渉語を音声呈示する絵・単語干渉 (PWI) 課題を用い, 呼称に影響を与える要因を検討した。実験Ⅰでは, 呼称潜時 (RT) に意味効果, すなわち絵 (例, 兎) と同じ意味カテゴリー (例, 狐) の干渉語は異なるカテゴリーの語 (例, 机) より RT が長くなる意味効果が, また絵とは異なる意味カテゴリーの連想語 (例, 人参) は RT を短縮する連想効果が, そして絵と同一の語 (兎) は呼称を促進することが明らかとなった。しかし先行研究ではみられなかった, 干渉語が名詞のとき動詞より RT が長くなる品詞効果ないし文法効果が得られた。一般に名詞の心像性は動詞より高いので, これが文法 (品詞) 効果を生んでいる可能性がある。そこで実験Ⅱでは心像性をマッチさせたところ名詞と動詞の RT の差は有意ではなくなった。これらの結果を語彙選択競合説で説明した。 PWI 課題は, 失語症にみられる喚語困難に有用なアプローチを提供すると思われる。