2015年夏季にシイ・カシ類の集団枯損が宮崎県の常緑広葉樹林において発生し,2016年にも継続して被害が発生した。被害の特徴を明らかにするため,シイ類が優占する照葉樹二次林において,ブナ科樹木を対象として樹種,胸高直径(DBH)および成立微地形を調査した。その結果,調査地内ではブナ科樹木が7種確認され,7種すべてに対してカシノナガキクイムシによる穿入がみられた。その中でもツブラジイは,アラカシやウラジロガシに比べ穿入を受ける割合が高かった。また,DBHが33 cm以上の個体は穿入を受ける割合が高かった。調査林分内では樹種によってDBHの頻度分布が異なっており,ツブラジイはDBHが33 cm以上の個体の割合が高かった。微地形の影響はみられなかった。これらの結果から,本調査地ではDBHの影響が大きく,DBHが33 cm以上の個体に対してカシノナガキクイムシが選好性を示したと考えられた。