文芸同人誌は日本の独自の文芸活動として発展し,作家の揺藍期を研究する格好の資料である.しかし,新興の文芸同人活動である「文学フリマ」の文芸同人誌に関しては,網羅的かつ体系的なデータベースは構築されてこなかった.本研究では日本大学芸術学部文芸学科に寄贈された文芸同人雑誌即売会『文学フリマ』の第3回から現在に至るまでの約一万冊以上におよぶ見本誌に基づき,文芸同人誌に適したデータモデルについて検討した.その結果として,同人誌を対象とする既存のメタデータモデルは,同人誌固有の性質である「委託販売関係」などを扱えない課題を発見した.