本稿では、日本の教育実践のなかで、最も差別・貧困の問題に敢然と立ち向かい、多くの成果を収めてきたと考えられる同和教育について、その歴史をたどり、今日的意義を考察する。同和教育は、解放教育そして人権教育と展開するなかで、その理論的・実践的な骨格を整えてきた。「集団づくり」「人権総合学習」「解放の学力」といった言葉で語られるそのエッセンスは、ペアレントクラシーという用語で表現されうる現代日本においてこそ、十全たる教育的意義を有している。