礫浜に生育する海岸林においてクスノキとヤマモモの風倒木を利用して根系の引き抜き試験を行い,引き抜き抵抗力に及ぼす単根の直径および砂礫の粒径組成の影響を検討した。過去の事例と同様に単根の直径を説明変数,引き抜き抵抗力を応答変数としてべき乗式で表した。立木位置によって礫の粒径組成が異なり,径5.6 mm以上の礫を多く含む場所では引き抜き抵抗力が小さくなる傾向が認められた。一方,引き抜き抵抗力に2樹種の違いは影響せず,材料試験機を使った単根の破断試験においても根の縦引張り強さに樹種間差は認められなかった。単根の直径と引き抜き抵抗力の関係式の係数を比較すると,砂浜や山地で行われた過去の事例と比べて本試験のものは小さく,円礫まじりの礫浜に成立する海岸林では単根の引き抜き抵抗力が小さくなることが示唆された。