本研究では, 十分な検討がなされていない日本語話者の発達性読み書き障害 (Developmental Dyslexia: ディスレクシア) 児の脳形態の特徴を, 定型発達児と比較することで明らかにすることを目的とした。ディスレクシア児 22 名, 定型発達児 49 名 (7~14 歳) の男児を対象とした。読み成績と認知機能検査によりディスレクシア児と定型発達児をスクリーニングした。磁気共鳴画像 (MRI) 装置により, 参加者の脳の高解像度 T1 強調画像を撮像し, 局所灰白質・白質容量を算出した。灰白質容量には定型発達とディスレクシアに差はなかった。白質容量は定型発達のほうが小脳と皮質をつなぐ広い領域で有意に大きかった。本研究で明らかになった小脳と皮質の神経連絡の問題が, 日本語話者における発達性ディスレクシアの原因の 1 つである可能性が推察された。