摘要:スギのシュートは独特な形態をした針葉がらせん状に着生するため,針葉面積を測定するには手間がかかる。本研究は,比較的簡単に測定できるシュートの投影面積( A s )と,そのシュートに着生する針葉の投影面積( A n )の関係を調べた。 A s と A n の関係に対して,樹冠位置,葉の月齢(季節),品種が及ぼす影響を評価した。約39年生のスギ人工林で,樹冠の上部と下部から1年間にわたり毎月シュートを採取し, A s と A n を測定した。 A s と A n は強い正の相関関係にあり,両者の関係に対して樹冠位置と季節は影響しなかった。また, A s と A n の関係は品種によらず1本の直線で近似できた。さらに, A s 当たりのシュート重量(LMA s )と A n 当たりの針葉重量(LMA n )との関係も, A s と A n の関係と同様の結果であった。以上から,スギでは,シュートの投影面積と乾燥重量を測定することで,樹冠位置や季節によらず,針葉の投影面積とLMA n を比較的簡便に高い精度で推定できることが明らかになった。..