本稿は2018年7月から2019年6月の1年間を中心とした「測定・評価・研究法」に関連する研究成果について,その動向をまとめた。そのうえで,今後の教育測定学や教育評価の研究が,新しい大学入試制度の導入に代表される,大規模なテストの制度設計にどのように役立てられるかについて,一つの指針を示すことを目的とした。新しい高大接続のための仕組みとして導入が予定されていた,大学入学のための共通テストに英語4技能入試や記述式を導入する試みが,導入を目前にして再考を迫られている今,これまで発表されてきた「心理尺度構成」「測定法に関する方法論的検討」「テストに関連する応用・実践研究」「その他,測定・評価・研究法に関連する研究」の諸論考から,テストで測られる構成概念の必要性の議論や,測定方法の実現可能性に関する議論を充実させることと,教育測定関連の研究環境の充実や新しい分析手法の検討が今後重要になることを指摘した。