日、米ともに高齢精神遅滞者への対応は基本的には同じ認識に立っている様に思われる。日本は平成2年の「老人福祉法等の一部を改正する法律」でサービスシステムを明確にしたのに対し、米国は1987年修正発達障害法(PL 100-146)で高齢発達障害者に関する3つの条項が追加され、1987年修正アメリカ老人法(PL 100-175)で「障害を持つ高齢者」に対する特別な条項が追加され、一般高齢者のサービスネットワークと障害者諸機関との間の行動計画やサービスに密接な協力や調整が求められた。が、現時点では高齢精神遅滞者へのヒューマンサービスシステム、処遇モデル、サービスプログラムとその評価の不十分さ、さらにシステム作りの為の基礎資料の不足、等が指摘されている。サービスニーズはかなり詳細に検討されて来ているのが特徴といえよう。高齢者個人や家族サービスはユニークさが要求され、個別プログラムでの対応、goodness of fitが求められる。いずれにせよ、日、米の現状はともに高齢精神遅滞者についての心理学的資料の絶対的不足が指摘されよう。