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  • 标题:青ケ島島民の歯冠形質に関する比較研究
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  • 作者:埴原 恒彦
  • 期刊名称:Anthropological Science
  • 印刷版ISSN:0918-7960
  • 电子版ISSN:1348-8570
  • 出版年度:1989
  • 卷号:97
  • 期号:1
  • 页码:9-22
  • 出版社:The Anthropological Society of Nippon
  • 摘要:青ケ島は東京の南方約360km に位置する孤島で,複式火山島として知られている.気候は温暖であるが,周囲は断崖絶壁で囲まれ,今日でも港や空港を持たない離島である(図1).また,内婚が比較的高率に行われている島としても知られており,遺伝的にも文化的にも閉鎖状態を保っているため,学術上重要な集団である.1954年11月,東京都の委託により全島調査が行われ,その際,歯科医師•田所幹彬氏によって乳歯および永久歯の全顎石膏模型が作成された.本研究はそのうちの永久歯を対象とした.また,比較資料として本州住民(東京都在住),沖縄島民,および北海道アイヌの永久歯全顎石膏模型を使用し,さらに BRACE and NAGAI (1982)による縄文人,弥生人,および現代京都住民の歯冠計測値を加えて解析を行った.第3大臼歯を除く14歯の歯冠近遠心径に基づいて上記7集団間のマハラノビス汎距離を求め,得られた距離行列から多次元尺度構成法によって2次元展開を行った.その結果,青ケ島島民は沖縄島民にやや近いものの,ほぼ東京住民と沖縄島民との中間に位置し,アイヌとは多少とも離れて位置する(図2).しかし全体として青ケ島島民は沖縄島民およびアイヌと共に縄文人に近く,このことはペンロースの大きさの距離に基づく1次元展開図(図3)によっても示される.さらにマハラノビス汎距離の行列からクラスター分析を行うと(図4),上記の集団間関係が一層明瞭になる.このようなクラスター構成に関係する歯冠形質の諸要因を分析するために,因子分析を行った.その結果,バリマックス回転前の第1因子は歯冠全体の大きさを表し,回転後の第1,第2因子はそれぞれ切歯群と小臼歯群の大きさを表すことが明かとなった.各集団におけるこれらの因子得点を計算すると,青ケ島島民は歯冠の大きさに関しては本州住民と沖縄島民あるいはアイヌとの中間的特徴を示す(図5).しかし,形態に関しては青ケ島島民は沖縄島民にきわめて近く,両者ともに本州住民とアイヌとの中間に位置する(図6).このことから,切歯と小臼歯,とくに後者の大きさが各集団を特徴づける主要因であることが明かとなった.次に,大きさに関する因子と形に関する因子がどのように関与して上記のクラスターを形成するかを明らかにするために,各集団の因子得点を変数とする行列から,バイプロット法による集団と変数の同一空間配置を試みた(図7).この結果,本州住民は主に歯冠の全体的な大きさにより他の3集団から分離され,また,青ケ島島民と沖縄島民は小臼歯の大きさに関して類似性を示すことが明かとなった.アイヌは歯冠全体が小さく,この点に関して沖縄島民と共通性を示すが,形態の因子に関しては,切歯が相対的に大きいという独自の特徴をもつ.非計測的歯冠形質については,各集団における出現頻度(表6)からスミスの距離を計算し,その距離行列に主座標分析法を応用して2次元展開を行った(図8).各集団の配置は図6と非常によく似ており,やはり青ケ島島民は沖縄島民と類似した歯冠形質を示すことが明かとなった.最近,日本人の形成論において,アイヌと沖縄島民が共通の特徴を示し,その多くが縄文人に起源をもつであろうということが多数の研究者によって指摘されている.本研究の結果から青ケ島島民の歯冠形態は本州住民とアイヌのほぼ中間的特徴を示すこと,ならびに沖縄島民にきわめて類似していることが明かとなった.同時に,この両集団は全体として縄文人に近いといえるが,このことからただちに,青ケ島島民がごく最近まで沖縄島民と共通の祖先をもっていたと結論することはできない.なぜなら両者とも比較的長い間,その地理的条件により,日本本土から遺伝的にも文化的にも隔離されていたという,共通の環境要因をもっているからである.アイヌについても,類似の要因が関与している可能性がある.しかし両者の類似性を平行進化のみで説明することも困難である.江藤ら(1955)が報告した頭部形態を他集団と比較すると,青ケ島島民は沖縄島民に近く,さらに縄文人とも類似する.すなわち,青ケ島島民は歯冠形質と生体学的データの両者において同様の傾向を示すといえるが,この事実は注目に値する.今後,環境的,遺伝的に隔離された集団の自然人類学的研究が,現代日本人の形成について多く重要な示唆を与えるであろう.この点について本研究が多少の参考くなれぽ幸いである.
  • 关键词:Aogashima Islanders; Dentition; Size factor; Shape factor; Geographic isolation
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