摘要:ヒトの骨格筋の筋繊維組成の大枠は遺伝により決定されているが,動物実験の結果やヒトにおける筋繊維型の転換を示唆する知見から,ヒトにおいても筋繊維型の転換が生じていると考えられる。持久性訓練或いは日常活動によってII B 型→II A 型→I型の方向に繊維型が変化する。II C 型II A 型から I 型に変化する過程での過渡的な型である。この変化は可逆的で,訓練の中止や不活動によって逆方向の変化が生じる。この逆方向の変化を別にすれば,I型繊維からII型繊維への転換はより困難であると考えられる。運動選手における筋繊維組成や筋繊維組成の年齢的変化は,このように考えると説明できる。喫煙や栄養状態や甲状腺ホルモンも筋繊維組成に影響を与える。