摘要:国内地域間の移住パターンを推定する方法のひとつとして,苗字を標識とする分析を試みた。苗字の種類が膨大なため,今回は北陸地方の T 市に着目し,T 市のア行の全苗字409姓が,22府県から選んだ53市にどのように分布しているかを検索した。資料源には電話帳を使用した。分布に地理的な偏りのある苗字がいくつか見出されたが,一般に総個数の多い苗字ほど分布の広くなる傾向がみられた。一方,KENDALL の順位相関係数•PENROSEの shape distance 等の統計量を使って T 市と他の市との苗字分布における親和性を推定した結果,地理的に T 市と近接する市ほどより高い親和性を示した。